実りの秋なのに稲が刈れない?2026年の長雨で新米価格はどうなる?|収穫遅れが食卓に与える影響は

実りの秋を迎え、本来なら新米の収穫が本格化するこの時期。しかし、2026年は長雨の影響で、思うように稲刈りを進められない地域も出ています。
「今年の新米は、いつ店頭に並ぶの?」「お米の価格は、さらに上がるのだろうか?」
そんな不安を感じている方も多いのではないでしょうか。
稲刈りの遅れは、単に新米の出荷時期がずれるだけの問題ではありません。雨が続くことで、稲の倒伏や穂発芽、品質の低下などが起こり、収穫量や等級、流通にも影響する可能性があります。さらに、その影響が米の価格や私たちの食卓にどう波及するのかも気になるところです。
この記事では、2026年の長雨による稲刈りへの影響を整理し、新米の収穫・品質・価格が今後どうなるのか、消費者の食卓への影響も含めてわかりやすく解説します。
新米は値上がりする?また米不足になる?
結論:現時点で、大きな値上がりや品薄になる可能性は低い
Q. 価格は上がる?
現時点では、大きく上がる可能性は低いと考えられます。店頭価格は約2年ぶりに5kg3,000円を下回っており、供給にも余裕があります。ただし、今後の収穫量や品質の公表次第で、見方が変わる可能性はあります。
Q. お米は減る?
現時点で、全国的に足りなくなると見込まれる状況ではありません。長雨の影響は一部の地域に出ており、農林水産省は供給量は十分確保されるとの見方を示しています。
Q. 新米はいつ店頭に並ぶ?
稲刈りが大きく遅れた地域では、例年より遅れる可能性があります。遅れの程度は地域や田んぼの状況によって異なり、全国一律ではありません。
そう考える3つの根拠
1. 供給量に余裕がある
農林水産省は9月1日時点で、2026年産の生産量を平均745万トンと試算しました。これに6月末の民間在庫243万トンを合わせ、供給量は十分確保されると説明しています。この243万トンは、調査開始以来で過去最大の水準です。
また、8月31日に公表された収量見込みでは、過去5年のうち最高と最低を除いた3年平均と比べて、「やや上回る」が24道府県、「平均並み」が19都県でした。夏の段階では、比較的良い作柄が見込まれていました。
2. 店頭価格はすでに下がっている
農林水産省のスーパー約1,000店舗のPOSデータでは、9月7日~13日の平均販売価格は5kg当たり2,971円でした。前週より32円下がり、約2年ぶりに3,000円を下回っています。
3. 来年の在庫も高い水準の見通し
農林水産省が7月に示した見通しでは、2027年6月末の民間在庫は最大281万トンと、今年の243万トンを上回る見込みです。ただし、この見通しは今回の長雨の影響を織り込んだものではありません。
長雨の影響が出ているのは「一部の地域」
各地の報道をまとめると、次のとおりです。いずれも報道時点の情報で、同じ県内でも地域によって状況は異なります。
| 地域 | 報じられた状況 | 出典 |
| 栃木県大田原市 | 例年なら8割ほど終わる時期に、稲刈りは2割程度。長雨で稲が雨水につかり、被害額は最大2,000万円にのぼる可能性があると報じられた。 | FNNプライムオンライン |
| 新潟県(魚沼) | JA魚沼管内の魚沼産コシヒカリの1等米比率は、9月15日時点で81.3%と良好。一方、長雨で収穫が進まない農家もあり、遅れが続けば品質・収量の低下が懸念されている。 | TBSニュースデジタル |
| 静岡県伊東市 | 例年9月中旬には終わる稲刈りが、9月25日の報道時点で約8割の田んぼに稲が残っている。すでに発芽した稲も確認された。 | FNNプライムオンライン |
| 千葉県山武市 | 約40haのうち約4haで、収穫が難しいと判断。長雨により穂発芽が確認され、倒伏や浸水も重なり、全体の約1割の収穫を断念したと報じられた。 | テレ朝ニュース |
刈り遅れで心配なのは「穂発芽・胴割れ・倒伏」
- 穂発芽:籾が穂についたまま発芽する現象で、発生すると品質が著しく低下します。(富山県農林水産総合技術センター)
- 胴割れ:玄米の内部に亀裂が入る現象で、刈り遅れで増え、精米時に割れやすくなります。(JA技術情報)
- 倒伏:倒れた稲は刈り取りに時間がかかり、穂が地面や水に触れると品質低下のリスクが高まります。
水につかった稲は、すべてダメになるわけではない
水が引いて田んぼが乾き、農業機械が入れる状態になれば、収穫できる場合があります。農林水産省は、速やかな排水と、被害の程度や籾の状態を見極めた適期収穫、被害を受けた籾を分けて乾燥・調製することを呼びかけています。ただし、雨が止んでも一気に遅れを取り戻せるわけではなく、田んぼが乾くのを待ちながら少しずつ収穫を進める必要があります。
田んぼの排水対策と溝切機
「田んぼって、もともと水を張る場所なのに、雨が多いとそんなに困るの?」
田んぼは水をためて稲を育てます。でも、ずっと水をためておけばいいわけではありません。
稲の生育に合わせて水を入れたり、抜いたりしながら管理しています。
そして大雨や長雨のときには、余分な水をいかに外へ逃がすかも重要になります。
「水を入れる」ことと同じくらい、「水を抜く」ことも田んぼづくりの大切な仕事なのです。
そこで登場するのが、「溝切り」という作業です。
田んぼの水を抜きやすくする「溝切機」という農機具
一般の方には、あまり馴染みのない農機具かもしれません。
溝切機(みぞきりき)は、田んぼの中に排水のための溝を作る機械です。
溝切りは主に稲の生育途中、中干しなどの時期に行われます。
田んぼに作った溝を排水口につなげることで水を抜きやすくし、その後の水管理をしやすくする役割があります。
つまり溝切りは、収穫期に長雨となってから行う作業ではなく、あらかじめ排水しやすい田んぼをつくっておくための備えです。
お米を作る農機具というと、「田植機」「トラクター」「コンバイン」あたりを思い浮かべる方が多いかもしれません。
でも、その間にもたくさんの機械や作業があります。溝切機も、その一つです。
当店では、田んぼの水管理に使う溝切機をはじめ、草刈機やさまざまな農機具・関連商品を取り扱っています。


まとめ
長雨で稲刈りが遅れている地域はありますが、現時点では、お米が足りなくなって大きく値上がりする可能性は低いと考えられます。
- 価格:店頭価格は約2年ぶりに5kg3,000円を下回り、供給・在庫にも余裕があります。
- お米の量:影響は一部地域の収穫遅れと品質面のリスクにとどまり、全国的に足りなくなる状況ではありません。
- 新米:被害の大きい地域では、店頭に並ぶ時期がずれ込む可能性があります。
現時点では、慌てて買いだめをする必要はなさそうです。今後は、農林水産省などから公表される収穫量・流通量・在庫量を確認し、状況が変わらないかを見ていきましょう。今年の新米は、落ち着いて待ちたいところです。
※この記事は2026年9月29日時点で公表されている農林水産省・自治体資料および報道をもとに作成しています。収穫量、品質、在庫量、価格などについては、今後の公表内容によって状況が変わる可能性があります。










